T-34-100

【T-34-100 ヴァリアント2】製作記・06

■ Model Pointの砲塔はレジンのムクではなく半中空なので、キューポラ部分に穴を穿ってハッチを開状態にした。やはりハッチが開いているだけでも「生きてる」感が出るかなと。
ハッチ自体は T-34-85の1枚ハッチなので、ドラゴン・キットのキューポラ上部 1mmも基部として移植。ハッチのヒンジはピンバイスで開口して開閉可能としてあるけど、フィギュアを載せたい気持ちもあり。

Bashni_1


「Mk-4ペリスコープ基部」はレジン製パーツが用意されていたが、プラパーツの「カッチリ感」が欲しかったので、ドラゴン・キットから移植した。「アンテナ基部ガード」も Model Pointのモールドを削り取って、やはりドラゴンから移植。

アンテナ基部自体は真鍮製の ARMORSCALE【S35-007:SOVIET AERIAL MOUNT (Late Pattern)を使用したが、先端がちょっと長過ぎるので、ピンバイスでアンテナ差込み穴を掘り下げてから切り詰めた。

大型の「ベンチレーターカバー」は、パーツ表面の鋳造表現を落として控え目にし、T-44のものを参考に、取付アンカーの溶接跡を6箇所、ポンチで抜いたプラペーパーで再現。

インストには指示が無いが、砲塔側面の前後には4箇所「砲塔吊り下げフック」が付くので、ドラゴンから移植。フックの取付角度は吊下時のワイヤーの方向を考慮して斜めになっている。

Bashni_2


さて、Model Pointの砲塔表面には全体に鋳造表現が施されているが、既に本キットを完成させている(主にロシアの)モデラーとの差別化を図りたいので、鋳造表現を全面的に施し直す予定。あーしまった。砲塔吊り下げフックはまだ取付けないどきゃ良かったよ…。

砲塔内側には Vallejoのブラック・プライマーを吹いてある。希釈無しで
そのままエアブラシで吹けるのが便利だけど、やはりアクリルは塗膜が弱いね。

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【T-34-100 ヴァリアント2】製作記・05

車体上部、まずはザクッとこんな感じ。

■ T-34-100は砲塔リング径を1700mmにまで拡大しているが、Model Point製砲塔はドラゴンの T-34-85に合うように作られており、砲塔リング部は無加工で装着可。車体からはみ出す砲塔の首部をガードする張り出しを接着。

砲塔リング周囲の戦闘室天板には、T-34-85の場合「第2,第3サスペンションの点検口カバー」「燃料注入孔カバー」のモールドがあるが、砲塔リング径を拡大した T-34-100ではそれらへのアクセスが不能になっている。
明確な資料は未見だが、上記ポイントは恐らく廃止されている筈なので、サスペンション点検口カバーは瞬着で埋め、燃料注入孔カバーのモールドは削り取った。

Hull


実は写真の段階ではまだ「第2サス点検口カバー」の方のモールドを埋めていない。これは「何も無いのは寂しいかな〜」と色気を出して、モールドを残そうとしたのでした。
ところが後で資料に当たったところ、第2,第3サスペンションを第1サスペンションと同仕様に変更」「燃料タンクを移動との記述が。とするとやはり「第2サス点検口カバー」も廃止されたと考えるのが妥当なので、慌ててこちらもモールドを消すことに。やはり資料は読み込まにゃアカンですね…。

■ エンジン室上面は、それまでの T-34と大幅に異なるデザイン。以前「ヴァリアント1」を作った時は完全に想像で工作した箇所なので感慨深い。

Model Pointのパーツは、ドラゴンキットのエンジン室上面から後ろの部分を全撤去し、レジン製のエンジンデッキに置換する仕様。パーツ自体はシャープで良い出来なのだが、左右の吸気部カバーや、後部の排気カバーも一体なので、それらのグリルや金網のモールドは埋まってしまっている。
これはやはりちょっと寂しいし、板状レジンパーツの経年変形も心配なので、Model Pointのパーツを参考にして、プラ板で自作したものに置き換えることにする。

Engine_deck


ドラゴンキットのエンジンデッキ部分は撤去。そのままでは車体上部パーツの剛性に不安があり、またエンジンデッキの取付も心許ないので、プラ棒とプラ板で補強の為のケタを設置し、新造したエンジンデッキはこの上に載せるようにした。丸穴は、台座に固定するボルトへのアクセス用。

■ 車体上部側面は、フェンダーを含む全てのモールドを削り落とした。全てと言っても、履帯防滑具固定ベルト用のП」の字金具くらいだが。
T-34-100の場合、履帯防滑具は砲塔後面に設けられたラックに格納されるので、フェンダー上に「П」の字金具は付かない。履帯防滑具なんかフェンダーに載せときゃ良いじゃん…と思うのだが、わざわざ砲塔後面に装着するというのは、何かしら理由があったのだろう。増加装甲的な?
そういえば、T-34-85では標準装備になっていた車体前面に装着する予備履帯も、T-34-100では廃止されてやはり砲塔後面に移動しているなぁ…。重量バランスの問題なのかも。

フェンダーは ABER製のエッチング・パーツを使用予定。キットのフェンダーでも充分な出来だが、以前 T-34・40年型を作った時にエッチング・フェンダーを使用し、その出来に満足だったので。一度換えるとやはりそのシャープさは魅力だ。実車が単純に「板を曲げただけ」の代物なので、エッチングでの再現も親和性が高い。

上で履帯防滑具の話をしたが、フェンダー上に履帯防滑具が置かれないということは、通常の T-34のフェンダーにある「履帯防滑具設置用の仕切り」も存在しない事になり、フェンダーはなんだかツルツルで寂しい感じに…。
が、それが実車のスタイルならば、その通りに再現するのが「スケールモデリング道」。やっと見つけたよ、私のスケールモデリング道。

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【T-34-100 ヴァリアント2】製作記・04

■ 起動輪は T-44と同タイプの「5ローラー」タイプ。「ローラー」とは、履帯ガイドを繰り出す為に起動輪外周に配置されたローラーのこと。
T-34の「6ローラー」タイプから変更された理由は、重量の軽減策の一環だったそう。ちなみに重量は、T-34-85の 32.0トンに対し、T-34-100では 33.0トンと増加している。

Model Point付属の起動輪は、取付け軸もレジンで強度に不安があったので、真鍮製の釘にプラパイプを被せたものを軸とした。
また、起動輪を取付ける最終減速機カバーの方には、内部にタミヤのキットで余ったポリキャップを仕込んだ。これで回転&取外し可能となり、なおかつ強度的にもバッチリ。

Polycap


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【T-34-100 ヴァリアント2】製作記・03

製作に当たり、ベースキットは、ドラゴン製【6066:T-34/85 Mod.1944】を使用する。
T-34-100は「第183工場」の開発なので、同工場製の T-34-85ならば何処のキットでも可だけど、スケールモデルとしてディテールアップしていくならば、現状、ドラゴン製がベスト。

ではまず足廻りからポツポツ。

■ T-34-100は、その長大な砲身のために相当なノーズヘビーだったと思われ、車体がかなり前のめり気味。これを再現する為に…

1)「第1サス・アーム」の位置決めダボを切り飛ばし、サス・アームが車体床面とほぼ水平になるように接着。
2)「第4サス・アーム」はインスト通りに、キット指定位置に接着。

3)この段階で一旦接着剤の乾燥待ち。その間に「第2,第3サスアーム」及び「第5サスアーム」の取付ダボ(コイルスプリングの下端に差し込まれる部分)を切り飛ばしておく。

4)サス・アームが固着したら、転輪を仮装着し、平らな台の上に置いて、やはり転輪を仮装着した「第2,第3サスアーム」を位置決め調整しつつ接着。
5)最後に「第5サス・アーム」を位置決めして接着。第5サス・アームは、第1〜第4とは逆にサスが下方に伸びた状態になる。

これによって、第1サス・アーム部で2mm程度の沈み込みとなり、車体がやや前のめりで、逆にお尻の上がった状態が表現可能。尻職人も納得。
これは、やはりノーズヘビーな SU-100等にも応用可能ですね。

Sus_arm


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【T-34-100 ヴァリアント2】製作記・02

製作記を謳っていながら、なかなか「製作」に入らぬこと、映画館に於ける本編上映前の予告編の如し。

Model Point【RC321:Набор деталей для конверсии танк Т-34-85 в танк Т-34-100 разработки марта 1945 года(T-34-85戦車から1945年3月設計のT-34-100戦車へのコンバージョン・キット)】

発売は2012年。現在 Model Pointは活動を休止しており、同じチェリャビンスクに拠を置く【Magic Model】がブランド管理をしている(?)ような状況です。本キットも残念ながら絶版。「レジン薄命」とは良く言ったものです。私が言ったんですが。

Mp_kit_1


乳白色のレジン製で成形状態は良好。砲塔は全くのムクではなく、ある程度中空になっています。
T-44と同型の5ローラータイプ起動輪や、こんな風になってたのかよっ!…と驚愕の機関室上面など、シャープな出来。「100mm砲・LB-1」はアルミ製で、マズルブレーキは真鍮製。この辺は Model Pointの面目躍如といったところ。
がっ!私の購入分には、天板中央に付く「ベンチレーター・カバー」のパーツが入ってませんでした…。ちなみに、Webで見たロシアのモデラーもやはり同パーツが入ってなかったと嘆いてましたね。結構大きめのパーツなのに入れ忘れるなよ的。代わりに装填手ハッチのヒンジが2個入ってましたが。
ま、そんなこともあろうかと当キットは2個所有しているので(ヴァリアント1を作る際の保険で)、とりあえずそちらから調達します。

■ さて、Webで広く見られる T-34-100の図面は不正確なもので、また実車写真も数が限られている為、その「異形さ」は実は世間に正しく伝わっていないんじゃないか…とも思います。ドラゴン製の T-34-85砲塔と並べて比較するとこんな感じになります。

Mp_kit_2


砲塔横幅の拡大はともかく、高さの大幅な減少は、こりゃさすがに無理があるだろ…と心配になるレベル。しかも搭載砲は100mm砲ですからね。
しかしながら、この異形さこそが T-34-100の魅力。「最終形態」ってのはこれ位のビースト感がなくっちゃ。

■ なお、オンラインゲームの「World of Tanks」には、搭乗可能車両として T-34-100も用意されているようです。
Webの画像で見た限りでは「ヴァリアント2」であり、Model Pointキットを元データにしていると思われますが、砲塔に関しては(あまりに低過ぎて不安になったのか)やや高めにアレンジされてますね。その為に実際より防盾上部が広い「デコっぱち」状態になってしまっていて、ちとカッコワルイ。
ちなみに実際の T-34-100は、車両停止状態でないと射撃は出来なかったそう。

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【T-34-100 ヴァリアント2】製作記・01

■ 試作戦車 T-34-100の開発経緯について、極々簡単に3行で記すと以下のような感じ。

1)既に1944年には、T-34-85の武装はドイツ戦車「パンター」より劣っていることが明らかになり、T-34の火力増強が緊急の案件となっていた。
2)より威力の大きい 100mm砲の搭載が模索され、1944年後半から1945年春にかけて3種類の 100mm砲が新型砲塔に搭載され、テストを行った。
3)結果はそこそこ良好だったが、車体の限界も見え、また既に T-44や T-54といった次世代戦車の開発も始まっていたため、T-34への 100mm砲の搭載は見送られた。

T-34-100は、ドイツ戦車に対抗して火力増強を行ってきたT-34が行き着いた「最終形態」と言えるでしょう。同時にそれは、BT-2から続いて来た、ソ連戦車に於けるクリスティー式サスペンションの限界点…でもありました。

T-34-100が搭載した100mm砲は、設計局の開発競争を反映して3種類存在します。即ち、【ZIS-100】【D-10】【100mm砲・LB-1】です。
各砲の外見的特徴はザクッと下記の通り。

【ZIS-100】:ZIS-S-85をベースに開発。スリット付きマズルブレーキを装着。
【D-10】:D-5 85mm,D-25 122mmと同系列で、主砲同軸機銃の発射孔が主砲位置よりもやや上方にある。マズルブレーキは無し。
【100mm砲・LB-1】:モノブロック砲身で、ZIS-100と同型のスリット付きマズルブレーキを装着。

ちなみに、LB-1だけ「100mm砲」と付けるのは、同じ LB-1名称で「85mm砲」も存在する為です。
この他、T-34-85に 100mm砲を搭載した車両も時に T-34-100と呼びますが、正式に「T-34-100」の呼称を得たのは、新型砲塔に 100mm砲を搭載したタイプだけです。

以上が実際に存在した T-34-100。これらはまとめてヴァリアント1と呼称したいと思います。

今回製作するヴァリアント2は、実際には製造されず、工場図面のみが存在するタイプ。Model Pointはそれらの図面を元にキット化しています。
「ヴァリアント1」の砲塔天井板構成が天板中央を頂点に傾斜を付けた3枚構成であるのに対し、「ヴァリアント2」では1枚板になっており、より生産に適した形態。この天板バリエーションに関しては T-54の試作段階にも同様の模索が見られるのが興味深いところ。

今回の製作に当たっては、工場図面をベースとし、「ヴァリアント1」,また、T-44,T-44-100,T-54 1945年型,戦後生産型の T-34-85のディテールも参考にしつつ、「実際に製造されたとしたらこうなったであろう」姿を構築します。

いわゆる「if モノ」「架空ネタ」の範疇なので、興味の無い人には全く興味の無いものに
なると予想されますね
それでもお気楽方面には逃げないつもりですが…。はてさて。

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【T-34-100 ヴァリアント2】製作記・00

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さて、そんじゃひとつ
T-34-100でも作りますかね。

T-34-100は以前(2003年)、ロシア「ナビゲーター」製のレジン・コンバージョンキットを利用して一度作りましたが(コレ)、
ナビゲーターのキットはやや不正確な図面を元にしていた為か、実車の砲塔形状やディテールを十分に再現しているとは言い難い内容でした。
当時は殆ど資料も無く仕方ない所ですが、いつか機会があったらリベンジしたいと思っていました。

そして 2012年2月、やはりロシアの Model Point【T-34-100 コンバージョンキット】をリリース。しかしこれは、実際に試作車が製造されたタイプではなく、図面段階でお蔵入りになった「ヴァリアント2(第2バリエーション)」と呼ばれるタイプでした。
試作車が製造されたタイプ(ヴァリアント1)も発売されるか?…と期待したんですが、残念ながらそれは叶わず。現在では Model Point自体も活動休止状態に…。

今回は、このようなマイナーアイテムを出してくれた Model Pointに敬意を表し、キット内容通りのヴァリアント2として組み上げたいと思います。
私自身、13年振りに作る
T-34-100なので、ガツンと気合いを入れて取り組みたい所存。

なお、本作は来年の「静岡ホビーショー・モデラーズクラブ合同展」の【May-Q同盟】ブースへの展示を最終目標とするので、製作記も長丁場(インターバル的な意味で)になると思います。
他にも同時進行でいじっているブツもあったりするので(←あるのかよ)、気長にお付き合いいただければ幸いです。とはいえ、今年中には完成させますです。

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