マリウポリの製鉄所
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関する報道はここのところ、東部の要衝であるマリウポリにある製鉄所周辺の攻防を伝えている。イリイチ製鉄所とアゾフスタリ製鉄所。
当ブログに馴染みのある話をすると、イリイチ製鉄所(イリイチ名称マリウポリ製鉄所)は1890年代の設立。1930年代から戦車用装甲板を製造しており、独ソ戦勃発後の1941年秋にウラル地方に疎開するまで、T-34の車体装甲板および砲塔の製造を担った。ハルキウ(ハリコフ)の第183工場、及びサレプタの第264工場(STZの一群)に送られたそれらの装甲部材を元に、T-34は生産された。
アゾフスタリ製鉄所の方は1930年代に設立。装甲列車や舟橋等を製造していたが、1941年秋にやはりウラル地方に疎開し、ウラルの地で再編された第183工場と共にT-34の装甲板を製造した。
いずれもウクライナ最大級の製鉄所であり、両工場共に対独戦では兵器生産の基礎部分で重要な役割を果たした。
独ソ戦の際には、ドイツ軍はこれらの製鉄所を占領した上で自軍施設として稼働させようとし、実際にそうした訳だが、今般のロシアによる軍事侵攻ではそのような意図は見えず、潰すべき地図上の点としてただただ破壊の限りを尽くしているという印象だ。戦況によっては地下に潜むウクライナ兵士や住民に対して、生物・化学兵器や戦術核の使用も懸念されるという危機的な状況が続いている。
キエフ,ハリコフ,そしてマリウポリ…。馴染みのある地名だが、こうした状況下で目にしたくは無かった。惨状を呈する各都市の姿に心が痛む。
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