« февраль 2022 г. | Main | апрель 2022 г. »

март 2022 г.

ロシア,ウクライナ・模型関連の動き

本記事は3週間ほど前に一度UPしたものの、内容に見落としがあり一旦削除していました。その後、忙しさに感けて修正が滞っていましたが、ザクッとまとめて記しておきます。

■ Miniartはフコンタクテ(VK:ロシアのSNS)にもアカウントを持っているが、2/28にウクライナ侵攻画像&動画と共に侵攻を非難する書き込みを行った。その後も他記事を引用する形で同様の投稿を継続的に行っているが、以外にもそれらは削除対象とならずにそのまま掲載され続けており、閲覧数もそれなりにある。
ロシア政府は3月初めに国内でのFacebookとTwitterへのアクセスををブロックしたと発表したが、自国内に対しては案外ザルな感じで、ロシア国民もネット経由ならばそれなりに情報は得られているのかなという印象。その情報を見てどう感ずるかはまた別の問題として。
VKにはウクライナ侵攻に関するフェイクニュースを検証するアカウントなども(今の所は)あり、相応のアクセスが見られる。これらはウクライナによるいわゆる「情報戦」の一環によるものと思われるが、MiniartのVKも同様の意思を持ってポストを続けていているのかもしれない。

■ ウクライナ侵攻後、ロシアの模型系フォーラムでは書き込みの量が明らかに減っている。その理由は不明。私も幾つかのフォーラムに登録し、たまに書き込んだりもしていたのだが、流石に今はそういう空気では無い。
ロシア模型系サイトの運営自体も、国外からの広告収入が(対外決済不能のため)ストップしたり、サーバー契約の更新が出来なかったりなど、今後の影響が懸念されている。

■ 対ロシア経済制裁の影響も既に出て来ている。状況は時事刻々変化しているようだが、ロシアからの対外的な決済は既に個人ベースでも出来なくなっている様子。
仮に決済ができたとしても、EU及び英国はロシア航空機の領空飛行を禁止し、またロシアも自国領空内の飛行を制限しているので、個人ベースでのヨーロッパからの配送は全く滞っている状態だそう。

■ 3月12日、eBayはロシアの住所に関する全ての取引を一時的な停止処置にした。発送元がロシアからである出品者は、アカウントは残っているものの出品商品は消えて0件になっている。
ウォッチリストに登録してあるアイテムはそのままだが、「この出品者は2030年12月31日まで不在です」という旨のアラートが表示され、入札・購入は恐らく出来ない(カートには入るが、そこから先は試していない)。

■ そんな折、ZVEZDAは3月14日から自社製品の希望小売価格を20%〜25%程度値上げした(値上げ率はアイテムにより異なる)。これが経済制裁が影響しての措置なのかどうかは不明。
在ロシアのレジンキットメーカーも今後の値上げを余儀なくされている模様。

■ ウクライナの模型産業の状況は深刻で、現状ほぼ停止状態と思われる。
Miniart,ICM,Master Box,RODENといったインジェクションメーカーのWebサイトは現在でも閲覧可能だが、当然ながら侵攻前とは様子が異なり「戦時下」的な様相。MiniartのサイトにはDDoS攻撃をブロックするためのブラウザチェックが導入された。

■ そんな中、Master Boxは新製品「ウクライナ - ロシア戦争シリーズ」として【ウクライナ兵・キーウ防衛 2022年3月(Ukrainian soldier, Defence of Kyiv, March 2022)】を発表。Miniartも【ウクライナ装甲兵員輸送車・BTR-4E】を発表した。これらの製品が無事発売に至るかは予断を許さない状況かと思えるが、開発を継続するというその強い意思は伝わってくる。
なお、Master Boxサイトページの下には国ごとのアクセス数が表示されているが、アクセス数1位はロシアからだ。

■ ウクライナ各模型メーカーの所在地は、キーウ(キエフ)が、Miniart,ICM,RODEN,Amodel,ACE,UM,UMMT,Clear Prop Models など。
ドニプロ(ドニエプロペトロフスク〜ザポリージャの北方70km程に位置する)が、Master Box,AMG など。

■ RODENキットの印象的な箱絵を多く描いていた Valery Grygorenko 氏が、キエフ近郊でロシア軍の攻撃により亡くなった
…こう書くと1行で済んでしまうのだが、スケールモデラーなら誰もが目にし、強烈な印象でRODENキットを特徴付けてもいた画稿の描き手は喪われ、もう二度と新作が世に出ることはない…。

■ ウクライナの模型店のネットページはほぼ繋がらない。私のブックマーク内では HobbyTerraのサイトが閲覧出来るが、ここは確か米国のサーバーにページを置いていた筈。更新自体は2/23を最後に途絶えていたが、最近 「ウクライナは戦争中の為に一時的に発送を停止しています。出来るだけ早く、必ず再開するよ」という旨のアナウンスが表示されて少し安堵した。

■ eBayではウクライナの出品者のアカウント及び出品リストはそのまま残っているが、普通に考えて取引は不可能だろう(キエフのセラーの商品も掲載され続けている)。

なお、モルドバをはじめウクライナ周辺国からの荷物も届きづらくなっているので注意。ロシア領空内を通過する航空貨物は運行していない。

◎ 以上、ざっと3月のまとめでした。あくまで私が目にしたごく狭い範囲内に限っての、主観の入った断片的な記録であることをご留意下さい。

4/1追記:チェコのホビーショップ MODELIMEXからのニュースレターによると、ウクライナ郵便が少しづつ再開をし始めたそうで、航空機系デカールメーカーの Print Scaleからは相当数の出荷があったそう。
Master BoxClear Prop Modelsからは発注依頼があり、更に ICMからも段階的に生産を再開する旨のメールがあったとのこと。

無論、状況は依然厳しいままですが、幾ばくか安堵の気持ちです。



|

秋葉原を軽く巡回・2022.03.12

■ 3月12日、所用で水道橋まで出たついでに秋葉原まで。本当は徒歩で神保町を経由したかったけど、時間的に難しそうだったためサクッと総武線で移動。

■ 陽気が良かったので秋葉原は結構な人出。戦時下(気分的に)ではあるけれど、故にこそなお一層「日常の模型フィールド」を大事にしたいし、それが出来る事のありがたさを思う。

■ まずは【イエローサブマリン・秋葉原スケールショップ】に直行。そういやタミヤの新KV-2はもう出たのかね?と棚を見ると、売って 居たのであります。まずいぞ、すごくまずい。いや別にまずくないか。

Miniarm【35210:T-26 & soviet light tank Tool Setを購入。T-26やソ連軽戦車用のジャッキ,斧,スコップといったOVMのセット。特に T-26用のジャッキは大きく目立つので、ディテールに秀れた本製品の使用は効果的だと思う。そろそろ Hobby Bossの OT-130を作る頃合いかな…(ホビボの T-26シリーズは OT-130だけを2個所有)。

■ その後はラジオ会館の【ボークス・ホビースクエア秋葉原】に移動。今日はシリコーンゴムやレジンといった複製用品一式を買うつもりだったのだが、時間が押してしまったのでまた次の機会に持ち越し。

Miniartのキットを何か買おうか…とも思ったんだけど、より直接的な支援として、その分を日本赤十字社のウクライナ人道危機救援金宛に寄付した。

Densen

|

Miniart と Zvezda と

■ 2月26日、MiniartのHP及び各SNSにその近況が投稿された。ウクライナ(キエフ)の民間防衛隊に対して支援を呼びかける内容で、緊迫した状況が伝わって来る。

■ twitterでの同ツイートに対するリツイートコメントを見ていると、海外ユーザーによる「Zvezdaは買わない!Miniartを買う」という旨の書き込みが散見された。
で、Zvezdaの Facebookを見たところ、やはり同じような趣旨の書き込みが多くなされていて、炎上状態だった。

■ これは Zvezdaによる 2月23日の「祖国防衛の日おめでとう!今日は当社サイトで23%の割引セールをやるよ」という書き込みが、ロシア軍によるウクライナ侵攻と関連づけて捉えられたことによる…みたい。

■ 「祖国防衛の日」は1922年に制定された「赤軍の日」を起源に名称を変えつつ現在まで続いている祝日。今回のロシアによる侵攻が同祝日に(政治的意図を持って)合わせてきた可能性はあるが、Zvezdaとしてはそれとは関係なく例年の感覚で投稿したんじゃないかと思う。まぁタイミング的にはちょっと不用意だったかもしれない。
Zvezdaもその旨を説明し「模型製作趣味は政治から距離を置くべき」と主張したが、時すでに遅しで「Zvezdaは不買だ!」的な書き込みが続いている。中には「Zvezdaのメーカーロゴの裏にスワスチカが隠れている画像」を添付する者まで。

■ 自社の製品が愛国者教育に使われるなど「体制側」に近いのかなという印象を受けがちな Zvezdaだが、実際のところは、少なくとも同社サイトやSNSを見る限りでは、過度にポリティカルな印象を受けたことは、私は無いな。

■ ちなみに Zvezdaはフコンタクテ(VK)にも Facebookと同じ書き込みをしたが、そちらでは特に問題視はされなかった。「STZ-5の画像使ってるのに、そのSTZ-5は割引セール対象外かよっ!」というクレームはあったけども…。

■ ZvezdaのVKは、読者が製作した作品は他社品であっても(たとえ自社で出しているアイテムがあっても)ガシガシ紹介していて、ある意味とても大らかで公平な運営が為されている。「メーカーとしていいのかそれで?」とこっちが気を揉むほど。
そして Zvezdaは Miniartのロシアに於ける代理店でもあり、反目し合うような関係だとは思えないのだが。

■ 実際のところ Facebookにそうした(ヘイト的)書き込みを行なっている者が「モデラー」であるのかどうかは疑わしくも思える。人・物・文化に於ける「反ロシア」的な感情は欧米には根強く存在しているので、それがSNSという舞台と相俟ってなお一層顕在化したということなのかもしれない。

■ いずれにせよ、属する国や体制といった括りで切り分け、自らと反するものを問答無用で脊椎反射的に叩くようなそうした態度は「文化」を毀損し破壊するものだろう。それは戦争と同じ側の行為だ。

■ 一方で、ロシア軍によるウクライナ侵攻に対する措置として、日本を含む各国による経済制裁が実施される。それは今後ロシア経済と構成員である一般市民にも継続的に苦しみをもたらすものであり、全体的な見地からは「Zvezdaは不買だ!」という行為と同じ…とも言えるだろう。

■ 今回の経済制裁は、到底容認することができないロシアの侵攻に対抗する為に取られる力の行使で、私もそれを支持する立場だけれど、市井の人々にも苦しみを与えるという点では、そこにある種の矛盾と苦い葛藤を感じざるを得ない。しかし我々は既にこの戦争の当事者でもある。

■ それ故に、個人レベルでは、特に趣味に関連するよしなしごとについては、個を尊重し、考え、節度を持った態度でありたいと思う。「文化」は守るべきものなのだから。

■ VKの個人ページでは「ウクライナでの侵略戦争に反対する」と明確に主張するロシアモデラーも見られる。強権体制であるかの国でのそうした発言はかなり勇気がいる行為だと思うが、市井のロシアモデラーの声が聞こえるという点で、幾ばくかの安堵を感じさせてもくれる。

■ ウクライナに対する侵略戦争の一刻も早い終結と、ロシア軍の撤退、そして模型趣味フィールドの再生を願って。以上、取り留めもなく。

|

« февраль 2022 г. | Main | апрель 2022 г. »