ロシア,ウクライナ・模型関連の動き
本記事は3週間ほど前に一度UPしたものの、内容に見落としがあり一旦削除していました。その後、忙しさに感けて修正が滞っていましたが、ザクッとまとめて記しておきます。
■ Miniartはフコンタクテ(VK:ロシアのSNS)にもアカウントを持っているが、2/28にウクライナ侵攻画像&動画と共に侵攻を非難する書き込みを行った。その後も他記事を引用する形で同様の投稿を継続的に行っているが、以外にもそれらは削除対象とならずにそのまま掲載され続けており、閲覧数もそれなりにある。
ロシア政府は3月初めに国内でのFacebookとTwitterへのアクセスををブロックしたと発表したが、自国内に対しては案外ザルな感じで、ロシア国民もネット経由ならばそれなりに情報は得られているのかなという印象。その情報を見てどう感ずるかはまた別の問題として。
VKにはウクライナ侵攻に関するフェイクニュースを検証するアカウントなども(今の所は)あり、相応のアクセスが見られる。これらはウクライナによるいわゆる「情報戦」の一環によるものと思われるが、MiniartのVKも同様の意思を持ってポストを続けていているのかもしれない。
■ ウクライナ侵攻後、ロシアの模型系フォーラムでは書き込みの量が明らかに減っている。その理由は不明。私も幾つかのフォーラムに登録し、たまに書き込んだりもしていたのだが、流石に今はそういう空気では無い。
ロシア模型系サイトの運営自体も、国外からの広告収入が(対外決済不能のため)ストップしたり、サーバー契約の更新が出来なかったりなど、今後の影響が懸念されている。
■ 対ロシア経済制裁の影響も既に出て来ている。状況は時事刻々変化しているようだが、ロシアからの対外的な決済は既に個人ベースでも出来なくなっている様子。
仮に決済ができたとしても、EU及び英国はロシア航空機の領空飛行を禁止し、またロシアも自国領空内の飛行を制限しているので、個人ベースでのヨーロッパからの配送は全く滞っている状態だそう。
■ 3月12日、eBayはロシアの住所に関する全ての取引を一時的な停止処置にした。発送元がロシアからである出品者は、アカウントは残っているものの出品商品は消えて0件になっている。
ウォッチリストに登録してあるアイテムはそのままだが、「この出品者は2030年12月31日まで不在です」という旨のアラートが表示され、入札・購入は恐らく出来ない(カートには入るが、そこから先は試していない)。
■ そんな折、ZVEZDAは3月14日から自社製品の希望小売価格を20%〜25%程度値上げした(値上げ率はアイテムにより異なる)。これが経済制裁が影響しての措置なのかどうかは不明。
在ロシアのレジンキットメーカーも今後の値上げを余儀なくされている模様。
■ ウクライナの模型産業の状況は深刻で、現状ほぼ停止状態と思われる。
Miniart,ICM,Master Box,RODENといったインジェクションメーカーのWebサイトは現在でも閲覧可能だが、当然ながら侵攻前とは様子が異なり「戦時下」的な様相。MiniartのサイトにはDDoS攻撃をブロックするためのブラウザチェックが導入された。
■ そんな中、Master Boxは新製品「ウクライナ - ロシア戦争シリーズ」として【ウクライナ兵・キーウ防衛 2022年3月(Ukrainian soldier, Defence of Kyiv, March 2022)】を発表。Miniartも【ウクライナ装甲兵員輸送車・BTR-4E】を発表した。これらの製品が無事発売に至るかは予断を許さない状況かと思えるが、開発を継続するというその強い意思は伝わってくる。
なお、Master Boxサイトページの下には国ごとのアクセス数が表示されているが、アクセス数1位はロシアからだ。
■ ウクライナ各模型メーカーの所在地は、キーウ(キエフ)が、Miniart,ICM,RODEN,Amodel,ACE,UM,UMMT,Clear Prop Models など。
ドニプロ(ドニエプロペトロフスク〜ザポリージャの北方70km程に位置する)が、Master Box,AMG など。
■ RODENキットの印象的な箱絵を多く描いていた Valery Grygorenko 氏が、キエフ近郊でロシア軍の攻撃により亡くなった。
…こう書くと1行で済んでしまうのだが、スケールモデラーなら誰もが目にし、強烈な印象でRODENキットを特徴付けてもいた画稿の描き手は喪われ、もう二度と新作が世に出ることはない…。
■ ウクライナの模型店のネットページはほぼ繋がらない。私のブックマーク内では HobbyTerraのサイトが閲覧出来るが、ここは確か米国のサーバーにページを置いていた筈。更新自体は2/23を最後に途絶えていたが、最近 「ウクライナは戦争中の為に一時的に発送を停止しています。出来るだけ早く、必ず再開するよ」という旨のアナウンスが表示されて少し安堵した。
■ eBayではウクライナの出品者のアカウント及び出品リストはそのまま残っているが、普通に考えて取引は不可能だろう(キエフのセラーの商品も掲載され続けている)。
なお、モルドバをはじめウクライナ周辺国からの荷物も届きづらくなっているので注意。ロシア領空内を通過する航空貨物は運行していない。
◎ 以上、ざっと3月のまとめでした。あくまで私が目にしたごく狭い範囲内に限っての、主観の入った断片的な記録であることをご留意下さい。
4/1追記:チェコのホビーショップ MODELIMEXからのニュースレターによると、ウクライナ郵便が少しづつ再開をし始めたそうで、航空機系デカールメーカーの Print Scaleからは相当数の出荷があったそう。
Master Boxと Clear Prop Modelsからは発注依頼があり、更に ICMからも段階的に生産を再開する旨のメールがあったとのこと。
無論、状況は依然厳しいままですが、幾ばくか安堵の気持ちです。