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KV誘導輪径・その後

KV重戦車の誘導輪径について書いたのは去年の七月だったのね。
本件はその後も気が向いた時(寝る前にスマホでとか)にポツポツ調べてました。Web検索が主なので限界もありますが、現時点でのまとめなどを下記に。

■ 実車マニュアルの記述

先の記事を書く際にも実車マニュアル類を幾つか参照しているが、マニュアルには転輪径や履帯幅等の記載はあっても誘導輪径数値の記載は見られなかった。

■ Web上の記事

Web上の KVに関する記事(主としてロシア系を調査)には「誘導輪径 680mm」との幾つかの記述が見られる。
例えば、Googleで「 "танк КВ" "направляющее колесо диаметром" "мм" (KV戦車 誘導輪直径 mm)」と検索すると「направляющее колесо диаметром 680 мм(誘導輪径 680mm)」という文字列が検索される。ただし検索された記事は皆 KV-1でも「KV-1S」に関するものばかりだった。
なおこの検索では「680mm」以外の数値は見つからなかった。

■ ロシア系・模型フォーラム掲示板

ロシア系の幾つかの模型フォーラムでは模型製作にあたって誘導輪径についての言及が見られたが、やはり「680mm」という記述ばかりだった。

実はかなり以前に発売された ZVEZDAのKVも誘導輪が小さく「18.9mm(x 35:660mm)」なのだそう。その際にも議論があり、モスクワ・中央軍事博物館収蔵車両の計測結果などを元に、結果として「誘導輪径は680mmなので ZVEZDAは小さい」という結論に至った模様。
タミヤの新 KVでは ZVEZDAより更に小さい「18.0mm(x 35:630mm)」なので、ロシアのモデラーにも困惑が見られる。

■ ロシア文献における記述

参照した文献で「KV-1Sの誘導輪径」について記述が確認できたものは以下。

『近代化された「クリム・ヴォロシーロフ」戦車・KV-1S & KV-85』(マクシム・コロミエーツ 著:エクスモ 刊, 2014):KV-1Sについて「誘導輪径 680mm」との記述。
『国内の装甲車両・20世紀 第2巻 1941-1945』(エクスプリント刊, 2005):KV-1Sの項目に「誘導輪径 680mm」との記述。
『タンコマステル』04/2001 別冊『重自走砲(諸元集)』:KV-1S車台ベースの「SU-152」及び「203mm試作重自走砲 S-51」の項目に「誘導輪径 680mm」との記述。

上記はいずれも「KV-1S(車台)の誘導輪径は680mm」という立場だった。

『KV Technical History & Variants』(Neil Stokes 著:AirConnection 刊, 2010):KV-1について「誘導輪径 700mm」との記述。

本書ではKVの誘導輪径を「700mm」と解説しているが、2020年に同著者のウェブサイトに掲載されたタミヤ新 KVのレビューでは「The original KV idler was 680mm in diameter」と記しているので、現在では情報が修正されて「680mm」という立場だと思われる。

■ KVの小径誘導輪という記述

「KV-1Sから採用された小径誘導輪」と称される物については詳細不明につき積極的にはリサーチしていないが、上記の諸々を調べている際にもそれらしい関連記述や話題の展開を目にすることは無かった。
ここまで挙げてきた各例が皆「誘導輪径 680mm」という立場であることから鑑みるに、「KVの小径誘導輪」と称される物は、少なくとも研究者やモデラーに広く認知されているものでは無いように思える。

● 模型的なこと

トランペッターの誘導輪とタミヤの誘導輪を比べてみると、外径は 1.5mm強ほど違うものの中央のハブカバーの大きさは両者ほぼ同じだ。
もし「写真からタミヤと同じ径の誘導輪を探す旅に身を置きたい」という場合には、この「外形とハブカバーのバランス」を念頭におくと良いかもしれないですね。私はしませんけど。

Tamitorump

なお上写真のトランペッター誘導輪は手近にあった「KV-1S」キットのものだけど、リブが太めで(テーパー処理がされていなくて)モサっとしてるなあ。KV-1Sをカリカリに組むならばこの辺も手を入れたいところ。それか、既報のように Miniarmの誘導輪を待つかですね。

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