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T-100-X-Y-Z

トランペッターの「T-100車台に130mm B-13海軍砲を搭載した試作・要塞破壊用自走砲」キットの予約が始まりましたな。
…って何故こんな回りくどい言い方をするかというと、当キットは製品名が【09589:1/35 ソビエト軍 Su-100U重駆逐戦車】と発表されているんだけど、「Su-100U?…Uって何だよ!Uって!あと最初のSuの方のuは何で小文字なんだよ!」と突っ込みたくなるからでして。

ソ-芬戦争中の1939年末、T-100車台をベースに、主にトーチカ破壊を目的とした車両の開発が計画された。
まず初めに、T-100車台に固定式の戦闘室を設けて130mm B-13海軍砲を搭載した自走砲が計画されТ-100-Xと呼ばれた。これは設計図面止まりだった。
このТ-100-Xの戦闘室を生産簡略化したものがSU-100-Y(T-100-Y)で、1940年3月までに1両が実際に製造された。
一方、自走砲型に加えて戦車型のТ-100も近代化が模索され、新型主砲塔に152mm M-10榴弾砲を搭載したТ-100-Zが計画された。砲塔自体は完成したが、152mm M-10の搭載車としては既にKV-2が採用されていた為、Т-100車台に搭載することは無かったとされる。

T100_xyz
(画像は『ブローニェコレクツィア誌 01-2002』より再構成)

これら試作自走砲シリーズのインデックス末尾のX, Y, Zは、ロシアキリル文字ではなくローマ字アルファベットの「エックス,ワイ,ゼットであり、ロシア語での表記と読みは以下のようになる。

・Т-100-X:テーストーイクス
・СУ-100-Y(Т-100-Y):スーストーイグリク(テーストーイグリク)
・Т-100-Z:テーストーゼット

このうちSU-100-Yについては末尾の「Y(ワイ)」がキリル文字の「У(ウー)」と誤認されて「SU-100Uと英訳転写されることが、ままある。が、記したように「Y」は「ワイ」なのでこれは誤りだ。

トランペッターはカタログ掲載時から「Su-100Uと表記していたが、結局誤った表記のまま発売されてしまうのね…。川上のメーカーが間違えると、川下の代理店も、小売店も、模型誌も、訂正すること無くその表記のまま紹介するので、結果、誤表記が一気に広まってしまうんだよな。困ったもんです。

なお、トランペッターはТ-100(76mm L-10装備)】【SU-100-Y】の他Т-100-Z】もキット化予定だけど、カタログ写真ではТ-100(76mm L-11装備)の写真がТ-100-Z】として使用されていて不安になる。

ちなみに、搭載されなかったТ-100-Z】の砲塔はレニングラード地区でトーチカ用砲塔として使用されたとされ、不鮮明な写真が残されている。

T100z

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