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KV重戦車のフェンダーについて(5)フェンダーの構造

▪️ KV重戦車のフェンダーの基本形は、【A:長方形の鉄板とそれを補強する左右のL字レール部品からなる本体】と、【B:フェンダー裏側中央を走る補強レール部品】、そして【C:フェンダーを固定するステイ】から構成される(画像再掲)。
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▪️ フェンダーは前中後に3分割されており、それぞれのユニットは前から2番目及び4番目のフェンダーステイ(三角形補強板の底辺左右にボルト接続板がある)の位置で接続しているが、ユニット相互の溶接接合は為されていないと思われる。
上の元イラストでは フェンダー外側の補強レール」「 車体側のレール」とも、継ぎ目の無い一本レールで描かれているが、実際にはユニット毎に3分割されており、継ぎ目がある(赤楕円部分)。

▪️ フェンダー本体のフェンダーステイへの固定には「ボルト&ナット」が用いられ、フェンダー裏側からボルトを差し込み、フェンダーステイの穴を通して丸ワッシャーを介し、ナットで固定している。

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▪️ フェンダー裏側中央の補強レール」は、基本的には前から後ろまで継ぎ目の無い一本のレールだと思われる。

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フェンダー中央の補強レールはフェンダー本体へは溶接固定されておらず、本体をフェンダーステイに取り付ける際の「ボルト&ナット」を用い、フェンダー本体を挟む格好で一緒に固定される。

下写真ではフェンダーがめくれ上がっているのでステイへの取付部を裏側から観察できる。上から3番目のボルト(赤矢印)で固定されていた補強レールが外れ、全体的に下方にズレた状態。溶接固定はされていない。

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また、下は元アバディーン戦車博物館の車両で、奥から3番目の取付ナットから突出しているネジ先が、補強レールを介した分だけ他より低くなっているのが判る。

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▪️ 車体側のレール」については、車体自体には固定されていないように見受けられる。撃破されてフェンダーが脱落した車両やレストア中の現存車両写真を観察しても、車体側にフェンダーを固定する為の、例えばフランジとかボルト穴のような構造や溶接跡の類は確認できない。
前部の誘導輪周辺で側板を介して車体とリベット接合されている以外は、フェンダーは本体から独立しており、言わば片持ちのフェンダーステイから懸架されているだけの状態だと思われる。

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▪️ なお 車体側のレール」は、 フェンダー外側の補強レール」及び フェンダー中央の補強レール」に比べて、幅・高さ共にやや広くなっている。

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KVのフェンダーが簡素かつ独立した構造なのは、破損した際の修理の容易さを意図した為だろう。
起動輪が後部に配置されるリアドライブ式では、走行中に何らかの理由で履帯が切断された場合、起動輪によって繰り出されたものの張力を失った履帯が滞留し、しばしばフェンダーを巻き込み破壊するに至った。が、この様な場合でも新規フェンダーユニットへの換装は比較的容易だったと思われる。

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◎ 模型的には、KVのフェンダーは面積も広く車両に占める割合が大きいので、工作上の見せ場と言えるでしょう。
例えばフェンダーがダメージを受けて撤去された状態にする際には、上記の構造的特徴などを踏まえつつ工作を施すと説得力が増すのではないかと。即ち「フェンダーの接続は2番目及び4番目のフェンダーステイの位置」「車体側のレールはやや幅広で、車体自体には固定されていない」などなど。

KV重戦車のフェンダーについて(了)

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