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レンドリースの M3軽戦車とギザギザ金具

現存するM3軽戦車を観察すると、車体前部上面右寄り、車体機銃の延長線辺りにギザギザの金具を溶接している車両が在る。

Brake_control_bracket


上は、モスクワ郊外のアルハンゲリスコエに在る「ヴァジマ・ザドロシュノヴォ技術博物館」収蔵のM3A1軽戦車画像からトリミング。元写真は下記から。
http://legion-afv.narod.ru/M3A1_Stuart_MT.html

この「ギザギザ金具」はM4中戦車等でもお馴染みのもので、ブレーキ制御装置(Brake Control arrangement)用ブラケットとされている。
生産工場からの車両出荷時や、また船舶等での輸送の際、操縦手席のブレーキコントロールレバーはブレーキが効いた状態で固定されるが、そこから伸ばしたワイヤーを車体機銃の開口部を経由させて車外に引き出し、このギザギザの金具に引っ掛けて固定する。
車両の積み降ろしで牽引する際にはブレーキを解除する必要があるが、その際、車内にアクセスせずに(あちこちシーリングされているのでそれらを破らずに)このギザギザ金具のワイヤーをリリースすれば、ブレーキを解除することが出来る…というシステムだったよね、確か。

海外では「comb device(櫛型装置)」なんて呼んだりするみたいだけど、個人的に米国モノは可能な限りダサいネーミングで呼びたいというポリシーがあるので(←何でだよ)、ここはよりダサく「ギザギザ金具」と呼びたい。

さてそのギザギザ金具、タミヤキットを作る際にアクセントになるかなーと、HD内にコツコツ集めた「ソ連軍に供されたM3軽戦車の記録写真(150枚程)」を精査したのだが、結果、溶接砲塔(D38976)装備車,キューポラ付き馬蹄形砲塔(D39273)装備車,キューポラ無し馬蹄形砲塔(D58101)装備のM3後期型,そしてM3A1軽戦車の何れのタイプに於いても、装備した車両の写真は(例えば破損して取れた跡なども含めて)1枚も見つからなかった。

そもそもこのギザギザ金具が採用されたのは1943年の初め(2月頃?)らしい。対してM3軽戦車の生産は 1942年8月まで、M3A1軽戦車は1943年1月までなので、タイミング的にはM3A1がギリギリ間に合うかどうかといったところか。
ソ連へのレンドリース供給自体は1943年4月まで続いたので、最後期のM3A1ならば、デポでプールされている際などに後付けで装着された可能性なども考えられるが、あったとしても数的には少なそう。
例えば、1943年2月、黒海のユージュナ・オゼレイカ上陸作戦には30両のM3後期型,M3A1が投入されたが、それらの車両を観察してもギザギザ金具は確認できない。
クビンカ収蔵のM3A1(車体番号:W-3011743)は、溶接車体&スポンソン機銃穴パッチ付きだが、こちらもやはりギザギザ金具は装着されていない(この車両は1942年に到着したものだが)。

とはいえ、冒頭の車両のように、ギザギザ金具を装着したM3A1というのもまた現存しているのが悩ましいところ(もっとも、ロシア国内に展示されている車両でも、レンドリース由来ではなく、近年ヨーロッパから持って来たものも多いらしい)。

いずれにせよ、装着していたとしてもM3A1で、M3後期型の場合は装着の可能性は低く、「タミヤキットをソ連軍仕様で作る際には、わざわざギザギザ金具を装着する必要性は薄い」…と、まずは言えそう。

なお、上記はあくまで「レンドリース・ソ連軍のM3軽戦車」の状況であって、それ以外、米・英軍使用車等の状況については全然調べていないので、その辺はヨロシクです。
例えば、ユーゴ軍に供されたM3A1(溶接車体・スポンソン機銃元から廃止)はギザギザ金具を装着していたりと、ポツポツ写真は見つかりますね。

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