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Miniart【35219:T-60(Plant No. 264)】

Miniartから、T-60のバリエーション35219:T-60(Plant No. 264)がアナウンスされました。相変わらず矢継ぎ早な展開。
今回は第264工場生産型。…と言われたって何処だよ第264工場って!何がどう違うんだよ!と思う方が圧倒的に多いんじゃないかなと。

Miniartは販売数を増やす為にバリエーションを多く展開するのが常ですが、T-60のような言っちゃえば「脇役」的アイテムで工場別の仕様差異をガッツリ再現してくるというのは、必ずしも一般ユーザーが望む商品態様とは合致していない…かもですね。
ただ、スケールモデルとしては最新の考証を反映した意欲的なものであり、モールドやパッケージングも上質で、今後少なくとも10年は T-60モデルの決定版であり続ける事は確実でしょう。「脇役」的アイテムだからといって手を抜いてお座なりな出来のキットを出されるよりは、千倍も良いです。

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第264工場はスターリングラード地区にある工場。「スターリングラード・トラクター工場(STZ)」「バリカディ工場」「赤い十月(冶金)工場」が市の中心部で各々隣接しているのに対し、第264工場は少し離れ、ドン河を30kmほど下った「サレプタ」という地区にあります。
元々は「スターリングラード造船所」なので、河川舟艇等を製造していましたが、戦時下には陸戦兵器の製造も行い、T-34の車体装甲板や砲塔を製造して STZに供給した事で知られています。STZ製のT-34というと「頬が削がれた砲塔と顎の尖った防盾」を思い起こしますが、アレが第264工場製砲塔です。

T-60については1941年12月から「赤い十月(冶金)工場」と共同で製造を開始しました。
当初は GAZ製と同仕様で生産を行っていましたが、独軍の侵攻に伴って 1941年後半から多くの工場がウラル地方等に疎開を開始、その影響で部品や部材の供給に混乱をきたす状況に。その為、第264工場では独自の改修を実施。T-34のいわゆる「鋼製転輪」と同様にハブ周囲に緩衝ゴムを内蔵した転輪や、これもやはりT-34のものに類似した単純な箱形形状の工具入れ、単純な形状のハッチ類などが五月雨式に採用されました。
1942年7月、T-34の生産に注力する為に第264工場に於ける T-60の製造は終了しますが、その生産台数はメインの GAZに次ぐ2番目の数量だったそうです。

今回の Miniartキットは緩衝ゴム内蔵型転輪」「箱形工具入れ」「八角形ハッチ」「角形カバー付き操縦手ハッチ」「直径460mmの鋳造製誘導輪等、第264工場製 T-60の外見的特徴を余す事無く再現しています。更に、車体側面装甲板は後期の「溶接接合式」に改められたタイプが新規に起こされており、スキがありません。素晴らしい。

T60_hull


キットは上記のように、第264工場製 T-60の特徴「全部入り」ですが、実際の車両の仕様は生産時期によって様々で、例えば下の車両は「八角形ハッチ」「箱形工具入れ」装備ですが、転輪は鋳造製スポーク転輪です。

T60_264zd_01


一方、下の車両では「鋼製転輪」「箱形工具入れ」「直径460mmの鋳造製誘導輪」装備ですが、砲塔ハッチに関しては円形ハッチで、操縦手ハッチも角の丸いカバー付きです。

T60_264zd_02


『T-60とその派生型』(ユーリイ・パショーロク 著:タクティカル・プレス 刊)によれば、第264工場製の T-60は、様々な工場からの部品や部材 300種以上の組み合わせで生産されていたそうなので、実車写真を再現するも良し、自分好みのパーツを組み合わせて「ぼくだけの最弱第264工場製 T-60」を組上げるのもまた良しでしょう。

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