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BT-42 は BT-7M のガソリンエンジン仕様ベースなの?(その1)

■ 発売中の『モデルグラフィックス』誌に、フィンランド軍の突撃砲 BT-42についての対談記事が掲載されています。
その文中、BT-42の改造ベースとなった鹵獲 BT-7について、
BT-7Mであり、更に、NKVD向けに製造されたガソリンエンジン仕様車ではないか?という見解が述べられています。

まずここで BT-7の各型と搭載エンジンについて整理しておくと、こんな感じ。
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BT-7 Mod. 1935(馬蹄形砲塔)】----- M-17-T・ガソリンエンジン
BT-7 Mod. 1937(円錐傾斜砲塔)】----- M-17-T・ガソリンエンジン

BT-7M】----- V-2・ディーゼルエンジン
BT-7M ver.NKVD】----- M-17-T・ガソリンエンジン

BT-42】----- ガソリンエンジン(恐らく M-17-T)

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1937年型までの【BT-7】は M-17-T・ガソリンエンジンを搭載。
それを V-2・ディーゼルエンジンに変更し、燃費(航続距離)の向上と、難燃性を獲得したのが【BT-7M】。
ところが、NKVD(内務人民委員部〜後のKGB〜)では運用上の観点からガソリンエンジンの搭載を欲し、それに応じて72両のガソリンエンジン仕様の【BT-7M】が作られた。これが【BT-7M ver.NKVD

【BT-42】はガソリンエンジンを搭載していることになっており、従ってベースとなった BT-7は【BT-7 Mod. 1937】か【BT-7M ver.NKVD】ということになります。
『モデグラ』記事では、継続戦争中、カレリアのペトロザボーツクに NKVDの部隊が駐屯しており、フィンランド軍との戦闘で BT-7が鹵獲されているとのこと。そこから、この鹵獲 BT-7については【BT-7M ver.NKVD】なのではないか、更に【BT-42】はそれらの車両をベースに改造されたものではないか…という話のようです。

それ自体は興味深い話ではあるんですが、文中では【BT-7M ver.NKVD】ではないかという疑念について「BT-7と比べていろんな造作がおかしいと、モデラーが言っている」「いろいろ変なタイプなのが【BT-7M ver.NKVD】ベースだとすると説明付く」「タミヤはBT-42用にBT-7をあちこち直している」というような事が書かれていて(立ち読みなので表記はこの通りではない)、それらにはちょっと疑問符が付くのです。

1937年型までの【BT-7】と【BT-7M】の違いは、基本的に搭載エンジン及び付帯機器であり、その他のディテール(装備品搭載位置を除く)に付いてはほぼ同一である…というのが私の認識です。
下画像はほぼ同じアングルから見た【BT-7 Mod. 1937】と【BT-7M】。【BT-7】がエンジンハッチ上に大きなエアフィルターを装着しているのに対し、【BT-7M】ではエアフィルターが車内に移動したため、エンジンハッチ上には小径のベンチレーターカバーがあるのみとなっています。

Bt7_7m


で、外見から判別出来る【BT-7】と【BT-7M】の違いってこの部分のみで、他に「BT-7と比べていろんな造作がおかしい」というようなポイントはちょっと思いつかないんですよね。
「いろいろ変なタイプなのが【BT-7M ver.NKVD】ベースだとすると説明付く」については、【BT-7M ver.NKVD】そのものの外見的特徴が明確になっていないので、説明を付けようが無いんじゃないかなと。

「タミヤはBT-42用にBT-7をあちこち直している」について言えば、タミヤの BT系はまず最初に【BT-7 Mod. 1935】が発売され、次が【BT-42】、その後に【BT-7 Mod. 1937】という順番であり、確かに【BT-42】の発売時にあちこちディテールが変更になっているのは事実(この記事あたりを参照)。
ただそれはあくまで順番的に【BT-42】発売時に修正されたものであって、内容的には【BT-7 Mod. 1935】と【BT-7 Mod. 1937】とのディテール差異を再現したものでしょう。

なお、私は別に「【BT-42】のベースは【BT-7M ver.NKVD】なんてことは無い!」…と言いたい訳ではありませんので、念のため。

【BT-7M ver.NKVD】ベースだったら面白いな…とは思いますが、それを確認するには、記事中でも触れられているように「車体製造番号」を確認するしかないんじゃないかな。
ちなみに、製造番号はたぶん操縦手ハッチとその横の戦闘室前面あたりの装甲板に刻印されていると思われますが、塗装を剥離させないと判別は不能でしょう。


つづく…。

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