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【T-34:最初の完全なる百科事典】

旧ソ連〜ロシアに於いて、T-34は大祖国戦争を勝利に導いた象徴的な兵器として捉えられていますが、そんなT-34も、その機構や歴史の全体に渡って詳細に網羅解説した書物は無かったんだとか。本書はそんなT-34についての「最初の完全な百科事典」という触れ込みで刊行されたもの。著者は、またまた登場のマクシム・コロミエッツ氏。

ハードカバーで、サイズはA4やや小さめの変形サイズ。ページ数は496ページで、厚さ32.5mmと堂々のボリューム。内容は多岐に渡っているので、目次を挙げてみますと…(超訳御免)

34_ecpedia■ 祖先は遠く、そして近い
■ 生産シリーズへの困難な道のり
■ ハリコフでの期間
■ “戦車駆逐車”
■ スターリングラードでの生産
■ 軍に於ける戦車
■ 第2次大戦中のT-34の生産
■ 火炎放射型 T-34
■ 増加装甲型 T-34
■ 戦争の後
■ T-34と武装、部品および構成の関係
■ 第2次大戦に於ける戦闘
■ vs. ティーガー&パンター
■ 戦車エース
■ 戦争の合計
■ 戦後のサービス
■ 第2次大戦に於ける最良の戦車

とまぁこんな感じ。「百科事典」と銘打ってはいますが、例えば「砲塔」という項目を引くと色々なタイプの砲塔についてズラーッと解説されている…というスタイルではありません。T-34に関する各テーマ記事の合冊的なスタイルで、特にフロントヴァヤ・イリュストラツィヤシリーズ、M・コロミエッツ氏の著作から引かれた記事が多いです。例えハリコフでの期間」「“戦車駆逐車”どは一章まるまる最近出たフロントヴァヤ記事の抄録ですね。
また、派生型に関しては、T-34M、
T-34ベースの砲牽引車・A-42などには触れられていますが、SU-122、SU-85といった自走砲系列については本書では扱われていません。

各記事内には、例によって初出の図版関係が多く掲載されており貴重です。

34写真では「第180工場にて撮影」とキャプション付けされた写真が多く掲載されています。本文によると「第180工場」はサラトフにあった工場で、戦闘によって損傷を受けた車両の車体及び砲塔の修理に当たった模様。掲載された写真も破損状況を記録したもののようです。
余談ながら「はて?第180工場って何処だっけ?」と手持ちの「ソ連国営工場番号リスト」に当たったんですが、何故か180だけ欠番になってました。謎。
また、第174工場第112工場の生産ラインを撮した写真も貴重。

工場由来の図版もアレコレ載っています。42年型・プレス砲塔の砲塔吊り上げボルト装着基部が単に砲塔表面に溶接されているのではなく基部自体が砲塔天板を貫通して内部でも溶接留めされてるのが判ってなるほど〜と思ったり。

未読ながら、各工場ごとの生産状況についても今までにない詳細さで記述されている様子で、今後のT-34研究に於いては外せない資料と言えるんじゃないかと。

そんな感じで基本的に良書なんですが、残念な点もあります。それは「本文の紙質が光沢紙ではなくマット紙である」ということ。折角の貴重な写真も、印刷がややつぶれ気味になっちゃってて残念。これは値段を抑える為だと思われ、事実、500ページ近い大冊にも関わらず、本国でだいたい3,000円位と非常にリーズナブル。
まぁ文句も言いづらいんですが、個人的には、仮に光沢紙で3倍の値段でも満足するであろう内容なので、ちょっと惜しい感じではあります。

ロシア・エクスモ社刊。ハードカバー496ページ。263 x 201 x 32.5mm。

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