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【T-34戦車:ハリコフの叙事詩】フロントヴァヤ・イリュストラツィヤ シリーズ #03/2009

Fi03_09 ハリコフの第183工場及び設計局がウラル地方に疎開する前、1941年1月から10月までの期間に於ける、T-34 及びその派生型の開発と生産をテーマにした書。著者はマクシム・コロミエッツ氏。同じМ.К氏による、同シリーズ #08/2008 の【T-34戦車:序 1937-1940】の続編になります。

ふぅ。何から書けばいいか…。例によって内容は未読なんですが、掲載されている写真や図版のインパクトは大きいですよ。

まず表紙の車両。車体と砲塔に増加装甲を装着していますが、装甲板を直接溶接したタイプではなく、ボルト留め式です。パッと見かなり厚い装甲に見えますが、車体に基部となる「足」を溶接し、その上に装甲板(10mm〜15mm程度?)をボルト留めしているので、一種スペースドアーマー的な仕様ですね。
このタイプの装甲板を装着した実戦参加車両の写真は以前から知られていたんですが、それが正規な仕様なのか或いは現地でのワンオフ車両なのか、その正体は長らく謎でした。が、これでハッキリしましたよ。

本書に掲載されている写真はこの正面からのものだけですが、工場由来の詳細な図面も掲載されています。T-26 の増加装甲仕様みたいでカックイイなぁー!これは作りたいですねー。

本書は前述のようにハリコフの第183工場に於ける T-34 の生産を扱った書ですが、タイプ分類など、今まで既存の出版物やWeb上での記述とはかなり思い切って異なっている部分もあるようで、本書刊行以来、本国ロシアでも若干のとまどいが広がっているようです。
第183工場の場合、ウラルへの移転疎開時などに近隣他工場と部品の融通仕合いを行っているなどかなりややこしく、これはじっくり読み込まないと論評出来ないかもですね。

派生型(と言うのが相応しいかどうかですが)、「T-34M」「T-34-57」に関しても突っ込んだアプローチが為されており、特に T-34M は工場図面などを織り交ぜて詳細に解説されています。

T-34-57 については、有名な第21戦車旅団所属の車体番号「20号車」を前方から写した写(!)が掲載されており、もうこれだけで買いでしょう。残念ながら全体に雪が積もっており、隔靴掻痒のじらしプレイなんですが、それでも、今までの写真ではハッキリしなかった操縦手ハッチの仕様が「新型」であるのが確認出来ます。この「20号車」の操縦手ハッチについては、寺田光男氏と「まず間違いなく新型だろう」という予測を立てておったんですが、それが判明したのは喜ばしい限りですョ。

他に「第21戦車旅団・1941年10月26日〜11月16日に於ける T-34-57 の損失報告」の表も載っており、損失の日付・地域・車体番号・損失理由の一覧が記されています。その表に於ける同旅団の損失 T-34-57 は10両で、部分的とはいえ、その具体的な稼働状況が明らかになったのは情報として貴重でしょう。
残念ながら、現在までに知られている T-34-57 の写真はそのうちの「20号車」だけで、他の個体については写真等未だ発見されずの状況な訳ですが、ここは将来の写真発掘を期待したいところ。

その他、何ヶ所か拾い読みしてみたんですが、例えば、初期の550mm履帯の不足に伴って採用された「T-34M」由来の履帯について、今までの出版物では幅が「450mm」とされてきましたが、本書では「何人かの執筆者が450mmだと言ってるが、コレは500mmだよ!」と書いてあるなど、納得したり、「えー?そーなのかー?」と新たな疑問が湧いたりで、アレコレ興味が尽きません。T-34 好きなら買わなきゃダメ的な内容の書と言えるでしょう。

総72ページ、写真77枚、イラスト等多数。全ロシア語。ミリタリアのポーランド語版もそのうちに出ると予想されます。

10/8現在、JADAR Hobby にも入荷したようで、サンプル写真が載っていますね 売り切れた模様)

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